ニュースの概要
英国のインテリア専門メディアが、2027年に向けた床デザインの変化を報じた。これまで床は、壁や家具を引き立てる「背景」として、無地のラグや淡い色の床材で控えめに整えるのが定番だった。ところが今は、床を「第6の壁」と呼び、色や柄、質感で空間の主役にする考え方が強まっているという。例として挙げられたのが、ケンダル・ジェンナー氏のアートスタジオである。クリーム、黒、赤のマットなタイルを組み合わせた床が、部屋の個性を決めている。天井を目立たせる「第5の壁」の流行に続く動きで、住まいの表現が上下方向へ広がっていることがうかがえる。
引用元: 海外インテリア市場で、ミニマリスト一辺倒から大胆な床デザインへ関心が移行(Homes & Gardens)
分析・見解
ミニマリズム疲れが床に向けた視線を変えた
ここ十年、白い壁と無地の床で整える暮らしが世界的に支持を集めてきた。理由は明快である。物が少ないほど掃除が楽で、写真映えもするからだ。しかし、同じ空間が量産されると、どの家も似て見えるという不満が生まれる。
壁紙や天井の色で個性を出す手法が広がった後、最後に残った大きな面が床である。部屋の面積のうち、床は約6分の1を占める。ここを無地のままにしておくのは、むしろ大きな余白を放置している状態に近い。
赤と黒を使うスタジオ床が示す、選び方の転換
今回の例では、クリームと黒と赤のマットなタイルを組み合わせている。ポイントは「マット」、つまりつやを抑えた質感である。光沢のある派手な床は、反射で目が疲れやすい。つや消しにすると、強い色でも落ち着いた印象に収まる。
また、色数を3色に絞っている点も重要だ。柄を足すときは、色の数を抑えて質感をそろえれば、にぎやかさと上品さが両立する。これは、無地を選ぶ発想から、色の配分を設計する発想へ移ったことを意味する。
ラグ中心の模様替えから、素材そのものの選択へ
これまでの床の模様替えは、ラグを敷くという後付けの手段が中心だった。ラグは安価で手軽な反面、ずれやすく、掃除もしにくい。
今回の流れは、タイルやフローリングなど、床の素材自体を主役にする方向である。工事が必要になるぶん、費用は上がる。ただ、一度施工すれば長く使える。短期間で捨てる流行品でなく、数年単位で選ぶ内装としての性格が強まる。
日本の住まいで起きやすい現実的な壁
日本の住宅は、床がフローリング一色の賃貸が多い。大胆な色柄をそのまま取り入れにくいのは事実である。
そのため、国内では貼って剥がせるクッションフロアや、置くだけのタイルカーペットが先に動く可能性が高い。さらに、動画通話の背景として床まで映る機会が増えている。画面の下半分に床が入る場面では、無地の床は寂しく見える。見られる場所としての床という視点は、日本の在宅勤務層にも通じる。
ビジネスへの影響
住宅・店舗の提案で、床を最初に決める発想が使える
インテリアや内装の提案では、通常は壁と家具を決めた後に床を合わせる。この順番を逆にし、先に床の色と柄を決めるという提案が差別化になる。床が決まれば、壁や家具の色は自然に絞られる。
店舗では、床が写真や動画に映り込みやすい。入口や撮影スポットの床だけを個性的にすれば、全面改装より費用を抑えつつ、来店者が写真を共有する理由を作れる。
販売側は「床の写真」を増やし、低リスクの商品から試す
EC事業者は、床材やラグの商品ページで、部屋全体の写真を増やしたい。小さな見本だけでは、大胆な柄が部屋でどう見えるかが伝わらない。購入の迷いは、そこで生まれる。
まず試すなら、貼って剥がせる床シートや、置くだけのタイルが適している。失敗しても戻せるため、買い手の心理的な負担が小さい。
流行を見極めて、費用をかけすぎない
色柄の強い床は、飽きたときの入れ替えが大きな負担になる。ベースの床は落ち着いた色にし、強い色は面積の小さい場所や交換しやすい素材に限る判断が安全である。
2027年に向けて、まず自社の事例写真で床がどう映っているかを点検することをすすめる。
